その視界を彩るもの
居なくなる前にそう言ってくれて良かったな、って。
穏やかな気持ちでお腹にまわされたアカネの腕に自分のそれを重ねた。
「………もういいよ」
だから素直に赦すことが出来たのかもしれない。
あたしの言葉を受けたアカネの涙声は一層嗚咽を増す。
暫くそうして立ち止まっていたら、背後から聞こえていたアカネの啜り泣く声も小さくなってきていて。
そろそろここを出なきゃならない。
あたしの気持ちはもうすでに固まっていて、この場所に留まるなんて選択肢は無くしてしまっていた。
「初、あのね……聞いてほしいことがあるんだけど」
「なに?」
「えっと……、」
だからこの後に向けられたアカネの発言というのは、本当に衝撃的な一言に他ならなかったんだ。
「あたし、初のことがずっと好きだったんだ。その、……恋愛対象的な意味で」
「………え?」
思わず身体が硬直した。