その視界を彩るもの
/貴女のことを護りたい
アカネは言った。今は信じなくてもいいから、一緒に闘わせて欲しいって。
あのときのあたしはその言葉を疑っていたわけじゃないけれど、正直ムリだろうなと思っていた。
だって「標的にされる」のって、想像以上に辛いことだ。
「アンタが篠崎?話あるんだけど。付いてきてくれない?」
「――初になんか用?ならウチらを通してからじゃないと困るんだけど?」
「ハァ?アンタら一体何なのよ!?」
……でもそれは、あたしが今の今まで独りで闘ってきたからで。
ユカリにアキホ…それにアカネが共闘してくれている今は驚くほど心が軽かった。
あの日――あたしの机にイサゾーと写った雑誌の破片がバラバラに詰め込まれてから一週間ほど。
最初こそ目を点にして首を傾げていたクラスメイトたちも、今ではアカネっていうツワモノに丸め込まれてあたしを揶揄することも無くなった。
そして学校に戻って三日後には、数人の女生徒たちに頭を下げられた。
「――…ごめん!!あたしら柳くんのファンで、それで……初にヒドいことばっかした!本ッ当にごめんっ…!!」
彼女たちはあの日、アカネが追いかけてくれた日にその切っ掛けをつくった子たちらしく。
まあつまり雑誌を切り裂いて机の中に入れた犯人ってこと。
本音を言うと赦したくなんてなかった。でも、この子たちが切っ掛けでアカネと腹を割って話せたことも事実なわけで。
だから渋々頷いた。
もうしないって、約束してくれたから。
こうした生徒たちの動きは驚くべきスピードで周囲に広がっていく。
だから一週間も経てば、あたしの周りに敵なんて殆ど居なくなっていた。