その視界を彩るもの




どうしたらこんなに真直ぐに生きられる?

どうして「負」の感情を抱えずに他人を見られる?


あたしだったら絶対に無理だ。

あたしだったら絶対にどこかで曲がる。捻くれる。



【あの子を見てると自分がね、滑稽に思えて仕方なかったのよ】



そんなふうに思ってしまったイサゾーの気持ちを少しだけ理解できた気がする。

だって悲しすぎる。

心にも身体にも深い深い傷を負った梢ちゃんが、誰よりもひた向きに生きている。


それと同時にイサゾーの決心にも理解が追い付く。

あたしもそれに力になりたい。

今まで以上にその気持ちが強固なものへと変化した。

今こうして目の前で笑っている梢ちゃんのためなら何だってする。





「……梢ちゃん。ありがとう、本当に」







思えばこの決断が、「この先のあたし」を左右する決定打になったのかもしれない。

それを後悔する日なんて絶対に来やしないけれど。



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