その視界を彩るもの
『――‥ここかッ、』
走り始めて間を置かずに眼前に現れた大きな扉。
これ見よがしに設置されたそれに若干わざとらしさを感じて眉根を寄せたけれど、連中は馬鹿だから気にする必要なんて無かったらしい。
『ウイッ!!!』
「おや? どうやら嗅ぎ付けられたらしいな」
大仰な音を立てて扉を蹴り飛ばした柳が声を張り上げながら中に突入していく。
ナツキと俺は直ぐ様その後に続いた。
だけれど前を行く柳が突然ピタリと足を止めるものだから、油断を証明するかのようにその背に思い切り鼻をぶつけてしまう。
「おい!やな――「万里」
文句の一つでも言ってやろうと声を上げた俺を間髪を容れずに窘めたのは、隣に居るナツキだった。
顎先で示された前方。
怪訝さを剥き出しにしながらその視線に倣って前を向く。
その瞬間に視界に飛び込んできた光景に、無意識の内に強く息を呑みこんだ。