その視界を彩るもの





『は? ……この部屋?』


目をぱちりぱちり、と。間抜けにも数回しばたかせて此方を見下ろすおねえイケメン。

きっと五畳足らずしか無いだろうリビングに居るのは、昨日出逢ったばかりの高校生ふたり。


思案に暮れるように指を顎先に宛がったあたしを見て、ついに限界を迎えたらしい奴は『プッ』と盛大に吹き出すと。




『アンタッ、やっぱ変わってる……!』




ヒイヒイ言いながら腹を抱えて笑い始めるものだから、目を丸くしたあたしの反応は必至のものだろうと思う。

中々爆笑の渦から抜け出せないらしいおねえイケメンを、暫し凝視するあたし。なんだコレ。








「………ちょっと」

『ごめんごめん、だってあんまりズレた質問ばっかするからッ』

「………」

『ごめんって。そう怒らないでよ』









尚も肩を震わせそう口にするあたり、故意的ではなく本当にあたしの言動がツボにはまってしまったらしく。

なんだか無表情で見つめているのも馬鹿みたいで、思わず相好を崩したあたしは。



「いいじゃん。笑ってるほうがいいよ、おねえイケメンは」

『おね……、なんだって?』

「………」

『………』

「………」

『………』

「ゴメンナサイ」

『もういっぺん言ってみろよこのアマ』











あれほど躊躇っていたくせに、呆気なく爆弾を投下させてしまった。

途端に眼をギラリと尖らせて此方を睨め付けるおねえイケメンに、唖然。キャラ違いすぎやしないか。







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