その視界を彩るもの




ゆっくりと時間を掛けて降下していく痺れ。

遂に到達したのが胸元だと気付いた瞬間、ぎゅっと強くイサゾーにしがみ付く。

その行動に何やら勘違いを催したらしいイサゾーはあたしを抱き上げスクッと立ち上がる。

目を丸くして奴の横顔を凝視していれば、辿り着いたのがベッドなんだと下ろされた感覚が告げていた。



『床だとイタくしちゃうから。――‥ね?』

「、電気!電気消そう!!」

『点けてないけど?まだ暮れてないから明るいんじゃない?』

「う、うそ~‥」



あんなに積極的に誘っておいて言うのも変かもしれないけれど。

こうして実際に天井とイサゾーの整った顔をセットで見てしまうと、火が付いたように心臓が暴れまわるから落ち着いても居られなくて。

対するイサゾーはそんなあたしの反応が至極愉しくて堪らないらしく、完全優位に立っていた。






『‥‥いいじゃん。ぜんぶ見せてよ』




前触れ無く耳元でおとされた低いその囁きが意図的だとしても、ゾクリとした痺れは襲ってくる。

思わず息を詰めて目を閉じていたら、いつの間にかあたしの服の中に入り込んでいたイサゾーの手が妖しげな手付きで動き出す。

何してるんだろう‥‥そう思いながらも募り続ける恥ずかしさに目を閉じたままで居れば、いきなり開放感に晒された胸にようやく事態を呑みこむことができた。




「ちょっ、」


ブラ外された!――‥ほぼ反射的に慌てて身を起こそうとしたあたしだったけれど、突然襲い始めた愛撫に全身の毛穴が開いてしまいそうで。

薄らと開けた瞳で捉えることができたその光景。

あたしが着ているニット生地のカットソーは胸の上あたりまで捲り上げられ、イサゾーの骨張った手のひらはバッチリ覗く乳房に触れていた。



< 303 / 309 >

この作品をシェア

pagetop