その視界を彩るもの







「………知らない。なにそれ」

『は……?』




眉根を寄せて小首を傾げてみせたあたしを数秒見つめ、洩らすようにそう声音をおとしたイサゾー。

まるであたしたちの空気をバッサリと両断するように、壁に掛けられた時計が午後10時を知らせた。鳩の鳴き声が静寂を打ち破る。







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