その視界を彩るもの
そして居間へと戻ってくれば、イサゾーはまだ熱心に何かを探している。
しょうがないから向かいへと再度腰を下ろし、サイドで纏めた自らの髪をくるくると弄ぶ。
あ、枝毛発見。うわ……最悪――『あったわよ!』
一本の枝毛ちゃんを呆然と見つめていたあたしに対し、待ちに待ったイサゾーの招集がかかる。
思わず勢いよく顔を上げ、忠犬さながらの動きで奴の隣に割り込むように滑り込んだ。
「どれどれ。なに?」
『アンタの頭が邪魔で見えないじゃない!ちょっと!』
「なにこれ。やっぱ写メ?」
『もう……!』
ぐいぐい頭を押されたせいでバランスが崩れ、身体が傾く。
イサゾーひどいなあ。そんなに邪険に扱わなくてもいいじゃないか。
思わずムスリと頬を膨らませるものの、『見ないなら戻すわよ』という脅しをかけられ慌てて体勢を立て直す。
―――って、
「………、ん……?」
スマホの画面に映し出されている一枚の写真。
その被写体を捉えたあたしの眼。まるで予測していなかったその光景に思わず瞬きを繰り返す。
「……これ、イサゾー?」
『そうよ』
「じゃあ……この、中央の人は」
『ウチのトップ。まあ言うところの《天の1番》ね』
「イサゾーは、」
『ついこの間まで《4番》だったけど、《3》張ってた男に勝ったから今は《天の3番》ってワケ』
「………ほう」
ちょっと、待って。