その視界を彩るもの
あたしの網膜に焼き付く写真の中の男たち。
その中に勿論含まれているイサゾーは、所謂「特攻服」ってやつを身に纏って笑みを浮かべている。
偉そうに腕なんか組んじゃって。って、問題はそこじゃ無かった。
「………イサゾーってさ、」
おそるおそる、近距離のやつを見上げる。
此方の視界にその満面が映り込んだときには既に、イサゾーはあたしに焦点を置いていて。
必然的に絡む視線。ごくりと呑みこんだ唾がいやに空間を震わせた気がした。
「――………暴走族なの?」
『そうよ』
間髪を容れずに、それこそあたしの台詞に被せるように肯定してみせたイサゾー。
そんな奴を音も無く見上げた。少しだけ隔たれた距離。にも関わらず、全く以てその考えが伝わってこないのは何故なんだろう。