lost sheep
❇ * *
翌日の教室。
泣き腫らした顔の雪生。
「どうしたんだその顔?」
雪生の机に腰掛け、雪生の顔を見て、腕組みをした時朗が言った。
「別に」
「おまえ、この間から変だぞ。何かあった?」
「あー? オレには見えない物が見えるんだよ」
雪生は机に両腕を投げ出して体を伏せた。
「なに!? おまえ霊感が身についちゃったの?」
時朗は少し仰け反って雪生から離れた。
「違うよバーカ。女が首から[ひろってくれ]って、札下げてんだよ」
一瞬、間。
「ははーん。おまえ、それはアレだな…」
「?」
❊ * *
雪生は購買でパンを買って戻っている所だった。
「あった?」
「おう。取れよ」
《 17年間生きてきて初めての感触だ。こんなに突然やってくるものだとは…。》
声を掛けた離れて待っている時朗へとパンを投げた時、タイミング悪く、階段から下りて来た女子生徒の頭にパンが当たった。
「ゴメン、ゴメン…」
《 もしや子羊はボクの方だったのでは? 》
雪生が謝りながら近づくと、それが有莉だという事に気づく。
あ!
雪生の顔が途端に赤面した。
《 特殊な形だが、どうやらこれを一般では一目惚れというらしい。》
「ボクとお付き合いして下さい」
end♡