ハウスキーパーはSっ気同級生の豪邸で…
滝野朝香(たきのあさか)、この春から高校生になった。
これから楽しい高校生活送るんだ〜とはいえ本当は中学時代、そこそこ県でも有名なバレーボール選手で私立の高校からの推薦がほぼ決まっていた。
私の近年の夢はその高校に学費免除で入学、春高バレーに出場、そこで活躍することだった。
学費免除は母子家庭のうちにとってはとてもありがたいことで、全寮制でお母さんと離れても少しでも楽になればと思っていた中学最後の全国大会で着地したときに左ひざの靭帯を痛めてしまった。
終わった……当然推薦の話もなくなり、バレーにどっぷりはまっていた私は成績優秀でもなく、家から近い学力の幅広い私立の高校へ通うことになった。
怪我をしてからは体育も見学し、安静にしていたおかげで自転車に軽く乗れるくらいにはなっていた。
「おかえり、お母さん、ご飯出来てるよ」
「ただいま、お腹減ったわ」
お互い早く帰ってきたほうが家のことをするのがうちのルールだ……二人で夕飯を食べる
「朝香、部活入らないの?運動無理でも文化部とか」
「入りたい部がないの」
「膝の手術してもいいんだよ、お金のこと心配しなくても」
「手術かー、でも2ヶ月半かかるって前に通っていた病院で言われたでしょ?入学したばかりだから今は学校休みたくないかな、友達を今は作りたい(笑)」
「そう……まあ朝香が決めるといいわ」
「私、バイトしていいかな?」
「いいけど、あっそれならうちでする?」
お母さんはハウスキーパーの仕事をしている
部活も入りたいものないし、バイトでもしようかなと思っていた。でも膝の悪い私は動きの早い行動や、ずっと立ちっぱなしの仕事は無理だ。おしゃれなカフェや、いらっしゃいませーというようなにこやかな笑顔も無理な気がする。
バイトも確かに限られてくる
ハウスキーパーで私の足のことを社長に言っていてくれたらそれなりの仕事があれば紹介してくれるかもしれない
「私ハウスキーパーやってみる、家事なら普段からしてるし、足のことはお母さんから説明しておいて……学校でバイト届けもらってくるね」
一つやりたいことができた、バレーが出来ない今、何かやらなきゃ
一週間程たった夕方、電話がかかる……お母さんだった
「朝香、家?」
「うん」
「今から事務所にこれる?」
「わかった、行く」
私は自転車で事務所に向かう
「こんにちわー、母がいつもお世話になってます」
「いらっしゃい、朝香ちゃん、早速だけどお仕事です」
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