無愛想な同期の甘やかな恋情
きゅっと唇を結んで、まっすぐな瞳をゆっくりと向けてくる穂高君に、私の胸はきゅんと疼き、確かなときめきをもたらした。
なんだか、身体中が火照って熱を帯びていく。


「バ、バカ」


あまりの恥ずかしさに、私の方から穂高君から逃げて、視線を彷徨わせてしまう。
彼も照れ臭そうに、「はは」と乾いた笑い声を漏らした。


「お前が好きだって気持ち、もうずっと長いこと秘めてこれたのに。一度タガが外れたら、間欠泉みたいに、とめどなく溢れ返ってくるのな」

「っ……」

「世界中の人間に、俺は冴島が好きだって、宣言して歩きたいくらい」


またしても、穂高君らしくない浮かれた口調に、私の鼓動は高鳴ってしまう。
いや、『穂高君らしくない』は、私の勝手なイメージで、本当は密やかな熱情をずっと心に抱えていた。
それが本当の穂高君なのかもしれない。


「も、もう。やめてったら……」


頭のてっぺんから、シューッと音を立てて蒸気が噴射しそうなくらい、顔が熱を帯びていた。
言った穂高君も、自分で苦笑している。


「ごめん。冴島が、俺のやることなすこと、いちいち意識して困ってくれてるの見ると、嬉しくて」

「……悪趣味」
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