無愛想な同期の甘やかな恋情
親指と人差し指で摘まんだ缶コーヒーを飲みながら、目元を綻ばせている。
普段から同じラボで働く事務員と研究員の、日常的な関わり合い、そんな光景。
だから、私も気にせず、『こんばんは、お疲れ様です』と挨拶して、中に入ればいい。
二人の会話に混ぜてもらってもいい。
それができず、その場に佇んでしまったのは、少し前から心に広がっていた靄が、今の二人を見て、いっそう色濃くなったせいだ。
最近私は、間中さんと糸山さん、二人が揃って一緒にいるところを、何度見かけただろう。
今、改めて自分に問いかけてみると、なんだか不穏なリズムで心臓が拍動し始める。
疑問を持たず、深く考えないよう逃げていただけで、本当はものすごく気になっていたことを、嫌でも自覚してしまう。
その時、廊下の奥の方から、足音が聞こえてきた。
音のバラつきからすると、人数は二人といったところ。
「なあ、一度ロッカー室戻っていい?」
間中さんと同じく、休憩に出ていた研究員が、持ち場に戻るところだろうか。
ロッカー室と言うなら、こちらに折れて来るだろう。
けれどそれを、もう一人が止めた。
「後にしろよ。今、間中さんも、事務所でコーヒーブレイク中だから」
普段から同じラボで働く事務員と研究員の、日常的な関わり合い、そんな光景。
だから、私も気にせず、『こんばんは、お疲れ様です』と挨拶して、中に入ればいい。
二人の会話に混ぜてもらってもいい。
それができず、その場に佇んでしまったのは、少し前から心に広がっていた靄が、今の二人を見て、いっそう色濃くなったせいだ。
最近私は、間中さんと糸山さん、二人が揃って一緒にいるところを、何度見かけただろう。
今、改めて自分に問いかけてみると、なんだか不穏なリズムで心臓が拍動し始める。
疑問を持たず、深く考えないよう逃げていただけで、本当はものすごく気になっていたことを、嫌でも自覚してしまう。
その時、廊下の奥の方から、足音が聞こえてきた。
音のバラつきからすると、人数は二人といったところ。
「なあ、一度ロッカー室戻っていい?」
間中さんと同じく、休憩に出ていた研究員が、持ち場に戻るところだろうか。
ロッカー室と言うなら、こちらに折れて来るだろう。
けれどそれを、もう一人が止めた。
「後にしろよ。今、間中さんも、事務所でコーヒーブレイク中だから」