無愛想な同期の甘やかな恋情
「うちの会社、メンズは一つしかないでしょ? だから……」

「そんなに間中さんと組みたい?」


穂高君は、素っ気なく私から目を逸らした。


「っ、え?」

「現状では、メンズの商品は間中さんに委ねることになる。そうすれば、今より間中さんと仕事で接する機会が作れるよな?」


ちょっと前まで、つれなくて余所余所しいのが、彼の私への接し方だった。
でも、ここ最近は歩み寄れていたし、私は穂高君と仕事以外の話をするのも楽しくて、そうできるのがとても嬉しいと思っていた。


だからこそ……今、彼との間に再び壁が築かれた。
そんな気がして、私は怯んでしまう。


「穂高君……?」

「別に、俺もお前も『AQUA SILK』の専属ってわけじゃない。でも、まだまだこれからって時に、他に手出す余裕、どこにあるんだよ」


穂高君は感情を殺したような早口で言い切って、資料をクリアファイルに戻した。
それを、私の胸元に突き返してくる。


「それに……。間中さんと組みたい企画なら、俺に相談するな」


態度も言葉も、辛辣で刺々しい。
私は反射的に資料を受け取りながらも、困惑して穂高君を見上げた。
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