無愛想な同期の甘やかな恋情
「みんなも興味津々で、『どんなの~?』って聞いてたんですけどね。古谷さん、『会議までは秘密』ってもったいぶって。よっぽど自信あるんでしょうね。……いいなあ」
篠崎君は私にそう説明して、最後はなにやらがっくりとうなだれる。
「俺も、そんなに胸張って企画会議に出れたらいいのに」
そう呟く彼に、私は黙って微笑んだ。
篠崎君は、発想は悪くないのだけど、いつも詰めが甘くて、企画は落選し続けている。
頑張っているのはわかるから、あまりしょげずに会議に臨んでもらいたい。
「……よし」
私は、ぎゅっと拳を握って呟いた。
「私、来月企画出さないから、篠崎君のフォローするよ」
途端に、「えっ!?」とひっくり返った声が返ってきた。
「マジですか!? やった! 美紅さんが手伝ってくれるなら、百人力です!!」
篠崎君が、まるで尻尾を振った子犬に見える。
私は、思わずブブッと吹き出してしまった。
昨日穂高君に、『後輩に任せろ』と言われた。
今回は篠崎君の企画のフォローをして、後輩育成に回る。
それも正しい。
「百人力は、言いすぎ。でも、そのくらいになれるように、私も頑張るね」
そう言って、「行こう」と彼を促す。
「はいっ!!」
まだ私はクスクス笑いながら、前方に聳え立つ本社ビルに向かって、大きく一歩足を踏み出した。
篠崎君は私にそう説明して、最後はなにやらがっくりとうなだれる。
「俺も、そんなに胸張って企画会議に出れたらいいのに」
そう呟く彼に、私は黙って微笑んだ。
篠崎君は、発想は悪くないのだけど、いつも詰めが甘くて、企画は落選し続けている。
頑張っているのはわかるから、あまりしょげずに会議に臨んでもらいたい。
「……よし」
私は、ぎゅっと拳を握って呟いた。
「私、来月企画出さないから、篠崎君のフォローするよ」
途端に、「えっ!?」とひっくり返った声が返ってきた。
「マジですか!? やった! 美紅さんが手伝ってくれるなら、百人力です!!」
篠崎君が、まるで尻尾を振った子犬に見える。
私は、思わずブブッと吹き出してしまった。
昨日穂高君に、『後輩に任せろ』と言われた。
今回は篠崎君の企画のフォローをして、後輩育成に回る。
それも正しい。
「百人力は、言いすぎ。でも、そのくらいになれるように、私も頑張るね」
そう言って、「行こう」と彼を促す。
「はいっ!!」
まだ私はクスクス笑いながら、前方に聳え立つ本社ビルに向かって、大きく一歩足を踏み出した。