無愛想な同期の甘やかな恋情
踏み出せないまま終わった、間中さんへの恋心。
それなのに、穂高君とならと思ったのは、私もとっくに彼に強く惹かれていたせいだ。
私の恋心に灯った火は、穂高君の篝火と違って、勢いよく一気に燃え上がっている。
私の『好き』の方が、穂高君のよりも勢いがあって加速している。
彼よりも、私の方が好きになるのは、時間の問題かもしれない。
なのに、こんな我儘な私を見せていたら、嫌われてしまう……!
すぐに戻って、謝らなきゃ。
激しい焦燥感に駆られ、回れ右をしようとした、その時。
「っ、美紅っ!」
いきなり後ろから肘を掴まれ、ぐいと引っ張られた。
「きゃっ……! え?」
勢いがついたまま振り返ると、目の前に立っていた人にぶつかりそうになり、私は咄嗟に短い悲鳴をあげた。
一瞬後で、それが穂高君だと気付き、目を瞬かせる。
彼は苦し気に顔を歪め、大きく肩で息をしていた。
額にびっしり汗が滲んでいて、一つ雫になってこめかみに流れ落ちる。
「……こんな炎天下で、猛ダッシュしたの、何年ぶりだ……」
穂高君の声は、荒い息にのまれて切れ切れになる。
膝に両手を突き、がくっと身体を前に倒した。
それなのに、穂高君とならと思ったのは、私もとっくに彼に強く惹かれていたせいだ。
私の恋心に灯った火は、穂高君の篝火と違って、勢いよく一気に燃え上がっている。
私の『好き』の方が、穂高君のよりも勢いがあって加速している。
彼よりも、私の方が好きになるのは、時間の問題かもしれない。
なのに、こんな我儘な私を見せていたら、嫌われてしまう……!
すぐに戻って、謝らなきゃ。
激しい焦燥感に駆られ、回れ右をしようとした、その時。
「っ、美紅っ!」
いきなり後ろから肘を掴まれ、ぐいと引っ張られた。
「きゃっ……! え?」
勢いがついたまま振り返ると、目の前に立っていた人にぶつかりそうになり、私は咄嗟に短い悲鳴をあげた。
一瞬後で、それが穂高君だと気付き、目を瞬かせる。
彼は苦し気に顔を歪め、大きく肩で息をしていた。
額にびっしり汗が滲んでいて、一つ雫になってこめかみに流れ落ちる。
「……こんな炎天下で、猛ダッシュしたの、何年ぶりだ……」
穂高君の声は、荒い息にのまれて切れ切れになる。
膝に両手を突き、がくっと身体を前に倒した。