無愛想な同期の甘やかな恋情
「でも、直前で気が変わったって……」
「そう。美紅は覚えてないだろうけど。俺ね、面接の順番、美紅の次だったんだ」
「!? そうだったの?」
思いがけない事実を耳にして、私は大きく目を瞠った。
穂高君は、「そうだったの」と、柔らかい笑みを浮かべる。
「一次面接の会場、ちゃんとした個室じゃなくて、パーティションで区切っただけのブースだったろ? 俺はその外で、順番待ちのパイプ椅子に座ってた」
もう八年も前のことを思い出しているのか、彼は懐かしそうに目を細める。
「普通の声量で話してれば、多分ボソボソとしか聞こえてこなかったはず。でも美紅、めちゃくちゃ熱く語ってたから、俺の耳にも飛び込んできた。お前の、志望動機」
「……!!」
「あの時も、魔法のアイテムを世に生み出す仕事がしたいって、そう言ってたよな」
穂高君の口角がニヤリと上がるのを見て、私の心臓がドッドッと激しく騒ぎ始めた。
「う、嘘っ……!」
確かに、私はそう熱弁を奮って、うちの会社の内定を勝ち取ったけど、それを同じ就活生に聞かれてたなんて、恥ずかしすぎる。
「~~っ!!」
居た堪れない思いに駆られ、私は穂高君の横で、勢いよくベッドに顔を埋めた。
「そう。美紅は覚えてないだろうけど。俺ね、面接の順番、美紅の次だったんだ」
「!? そうだったの?」
思いがけない事実を耳にして、私は大きく目を瞠った。
穂高君は、「そうだったの」と、柔らかい笑みを浮かべる。
「一次面接の会場、ちゃんとした個室じゃなくて、パーティションで区切っただけのブースだったろ? 俺はその外で、順番待ちのパイプ椅子に座ってた」
もう八年も前のことを思い出しているのか、彼は懐かしそうに目を細める。
「普通の声量で話してれば、多分ボソボソとしか聞こえてこなかったはず。でも美紅、めちゃくちゃ熱く語ってたから、俺の耳にも飛び込んできた。お前の、志望動機」
「……!!」
「あの時も、魔法のアイテムを世に生み出す仕事がしたいって、そう言ってたよな」
穂高君の口角がニヤリと上がるのを見て、私の心臓がドッドッと激しく騒ぎ始めた。
「う、嘘っ……!」
確かに、私はそう熱弁を奮って、うちの会社の内定を勝ち取ったけど、それを同じ就活生に聞かれてたなんて、恥ずかしすぎる。
「~~っ!!」
居た堪れない思いに駆られ、私は穂高君の横で、勢いよくベッドに顔を埋めた。