無愛想な同期の甘やかな恋情
先ほどの行為の後で、まだお互い汗ばんだ肌を、再びぴったりと重ね合わせる。
そのまま溶け込んでいこうとするように、ぎゅうっと固く抱き合った。


「……でも、もっと」


私は、穂高君の耳元で、そう囁いた。
彼が「え?」と聞き返してくる。


「私と穂高君の間に、限界はないの。だから、もっと、もっと」


そう続けながら、彼の首に回した腕に力を込める。


「はは」


小さな苦笑が聞こえてくる。


「仕事も恋も。……美紅は、欲張りだ」


ちょっと揶揄するような、楽し気な口調に、私もふふと吐息を漏らして笑う。


「そうよ。だって、穂高君とじゃなきゃ、できないから」


穂高君が、私を抱きしめたまま、ぐるんと身体を回転させた。
一瞬にして体勢が逆転して、彼が私を組み敷いている。


「お前の夢は、俺が全部叶えてやる。だから、俺のことだけ見てろ。もっともっと溺れろ」


挑むような強い宣言に、私はまたしてもきゅんとして――。


「っ、あ……」


穂高君への『好き』は、限界を知らず高まり、募っていく。
際限のない感覚は、ちょっと覚束なくて不安もあるけど。


彼となら。
きっと、もっと、もっと。


「ほ、だか、く……」


私は、彼の優しく甘くどこか激しい愛撫に、のまれていった。
< 165 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop