無愛想な同期の甘やかな恋情
無意識に聞き返したものの、彼女が言うそのやり取りを、私は確かに見知っている。
あの時一緒にいた篠崎君も、そのことを思い出したのか、ハッと息をのむ気配がした。
「『冴島さんが、似たような企画を挙げるつもりでいる。新しい力が育つのを応援したいから、頑張って』って。実験して検証したデータも一緒に送ってくれました」
「ほら!」と言って、古谷さんが私の目の前に突き出してきた物を、私は瞬時に視界で捉えられなかった。
一度バチッと目を閉じ、そこに焦点を合わせて……。
「っ……」
「穂高さんからもらった、メールとデータです」
古谷さんが説明してくれなくても、彼女の言うものを、プリントアウトしたものだとわかった。
確かに、メールの署名は『穂高』となっている。
私は、彼女の手からひったくるようにして、そのプリントを手に取った。
最初のやり取りから目を通してみると、古谷さんの実験依頼から始まり、穂高君が返信している。
彼女が口にした言葉も、メールの本文に記されていた。
「穂高さん、冴島さんには、『原料の面でハードルがある』って言って、止めたんでしょう? だから冴島さんは、今日の企画会議に挙げられなかった」
あの時一緒にいた篠崎君も、そのことを思い出したのか、ハッと息をのむ気配がした。
「『冴島さんが、似たような企画を挙げるつもりでいる。新しい力が育つのを応援したいから、頑張って』って。実験して検証したデータも一緒に送ってくれました」
「ほら!」と言って、古谷さんが私の目の前に突き出してきた物を、私は瞬時に視界で捉えられなかった。
一度バチッと目を閉じ、そこに焦点を合わせて……。
「っ……」
「穂高さんからもらった、メールとデータです」
古谷さんが説明してくれなくても、彼女の言うものを、プリントアウトしたものだとわかった。
確かに、メールの署名は『穂高』となっている。
私は、彼女の手からひったくるようにして、そのプリントを手に取った。
最初のやり取りから目を通してみると、古谷さんの実験依頼から始まり、穂高君が返信している。
彼女が口にした言葉も、メールの本文に記されていた。
「穂高さん、冴島さんには、『原料の面でハードルがある』って言って、止めたんでしょう? だから冴島さんは、今日の企画会議に挙げられなかった」