無愛想な同期の甘やかな恋情
そのどれもが、穂高君と一緒に一から創り上げてきたもの――。


この間、彼がうちに泊まった時、これを見て嬉しそうに微笑んでくれたことを思い出す。


『これからも、一緒に増やしていこう。そのうち、このケースじゃ足りなくなって、もっと大きなのが必要になるだろうけど』


私たちは、これから先もずっと一緒。
そういう約束をした気分で、なんだか照れ臭くてくすぐったくて、でもとても嬉しかった。


『私と穂高君の間に、限界はないの』


そう言えたのは、この先も穂高君が私を支えてくれる未来が続くことに、なんの疑いもなかったからだ。
私の彼への信頼も、恋心も、際限なく増え続ける。
そう信じていられたから。
なのに――。


私は、ショーケースの前でぺたんと座り、床に突っ伏して泣きじゃくった。
古谷さんの言葉を、鵜呑みにしたくなくて。
穂高君に説明してほしかったのに、彼は弁解すらしてくれなかった。


どうして、私を裏切ったの。
彼の声で、ちゃんと言葉にしてほしかったのに。


穂高君への信頼が、崩れ落ちた。
急速に育っていた恋心が、凍結した。


彼を失ったら、私はもうこれ以上魔法のアイテムを生み出せない。
ここが、私の夢の終わりだ。
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