無愛想な同期の甘やかな恋情
私だって、協力してくれたのが間中さんだと思っていたから、彼と同じチームになれることを期待していた――。


なにか自嘲的な気分になり、私は仕事の手を止め、ぼんやりとデスクに頬杖をついた。
マウスを操作して、商品企画部のドライブにアクセスする。
ダブルクリックして開いたのは、私の個人フォルダだ。


これまで私が、会議に挙げた企画資料。
落選したのも含めて、全部ここに格納してある。


その中で、私は、四年前に初めて通った企画の名がついたフォルダを開けた。
そこに保存してある、『検証実験報告書』というファイル名のPDFをクリックする。
モニターに展開されると、すぐに最終ページにジャンプした。


『君の夢が叶いますように。応援してます』


何度見てもきゅんとする、手書きのメッセージ。
この時、私に協力して、応援してくれたのは誰だったんだろう――。


ジーッと見つめていると、いつの間にか焦点がぶれ、視界の中でぼんやりと歪んでいった。
無言で溜め息をつき、PDFを閉じる。
気を取り直して、仕事を再開した。
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