無愛想な同期の甘やかな恋情
本当の魔法使い
九月最初の週末を迎える、金曜日。
久しぶりに外出ランチをして戻ってくると、タイミングよく電話がかかってきた。
「はい。商品企画部、冴島です」
卓上フォルダからPHSを抜き取り、デスクにバッグをしまいながら応答する。
『お疲れ様。ラボの間中です』
「……っ、間中さん?」
相手が名乗るのを聞いて、私はたっぷり一拍分も間を置いてから、素っ頓狂な声で聞き返してしまった。
電話の向こうで、間中さんは吹き出して笑っているけど、私の反応も無理はない。
だって、仕事の関わりがない間中さんから電話をもらったことなんて、今までなかったんだから。
「お、お疲れ様です」
ちょっと緊張しながら、無意識にシャキッと背筋を伸ばす。
用件を訊ねようとして、重苦しい空気に包まれたあの夜の出来事が、すぐに脳裏を過ぎった。
「あの、間中さん。先日は、ご迷惑をおかけしました」
周りには誰もいないけれど、辺りを憚って声を潜めると、間中さんが『ふうっ』と小さく息を吐いたのが聞こえた。
『こちらこそ。ラボのせいで嫌な思いをさせてしまい、冴島さんには申し訳なく思ってる』
続けて『ごめん』と真摯に謝罪されて、私はきゅっと唇を噛んだ。
久しぶりに外出ランチをして戻ってくると、タイミングよく電話がかかってきた。
「はい。商品企画部、冴島です」
卓上フォルダからPHSを抜き取り、デスクにバッグをしまいながら応答する。
『お疲れ様。ラボの間中です』
「……っ、間中さん?」
相手が名乗るのを聞いて、私はたっぷり一拍分も間を置いてから、素っ頓狂な声で聞き返してしまった。
電話の向こうで、間中さんは吹き出して笑っているけど、私の反応も無理はない。
だって、仕事の関わりがない間中さんから電話をもらったことなんて、今までなかったんだから。
「お、お疲れ様です」
ちょっと緊張しながら、無意識にシャキッと背筋を伸ばす。
用件を訊ねようとして、重苦しい空気に包まれたあの夜の出来事が、すぐに脳裏を過ぎった。
「あの、間中さん。先日は、ご迷惑をおかけしました」
周りには誰もいないけれど、辺りを憚って声を潜めると、間中さんが『ふうっ』と小さく息を吐いたのが聞こえた。
『こちらこそ。ラボのせいで嫌な思いをさせてしまい、冴島さんには申し訳なく思ってる』
続けて『ごめん』と真摯に謝罪されて、私はきゅっと唇を噛んだ。