無愛想な同期の甘やかな恋情
私を見て、椅子に腰かけていた間中さんと、もう一人の男性がスッと立ち上がった。


「お忙しい中、お時間いただきまして、ありがとうございます」


間中さんが丁寧な挨拶をして、二人同時に頭を下げる。


「え? あの……?」


なんだか妙に改まった様子に怯み、私は一瞬ドア口で立ち尽くしてしまった。
だけどすぐにハッと我に返り、ドアを閉めて中に進む。
そのタイミングで顔を上げた二人に、私も軽く会釈をした。


「ご丁寧に、ありがとうございます。それで、間中さん、あの……」


三人同時に椅子に腰を下ろしてから、私は間中さんに訊ねた。
でも、初めて会う男性を気にして、彼の方に目が向いてしまう。
私の視線に気付いたのか、その男性が緊張した様子で姿勢を正した。


「俺と同じ第一グループで、研究補助に就いている、堀田といいます」

「……堀田です。初めまして」


間中さんに紹介された補助員の堀田さんが、少し硬い強張った声で自己紹介をしてくれた。


「あ。冴島といいます。初めまして」


私も背筋を伸ばして、彼に挨拶を返した。


「で、ええと……」


ますますもって、間中さんの用件がわからない。
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