無愛想な同期の甘やかな恋情
間中さんの説明に、私も頷いて相槌を打った。


「グループ長の俺が、その時手の空いている研究員に対応させて、返信もここからする」


彼の説明通り、差出人は『ラボ―1』となっている。
これだけでは誰からのメールかわからず、メール本文の末尾に記された『間中』という署名だけが頼りだ。
私はこの時、間中さんに宛てて集合アドレスに送ったし、この返事も彼からだと信じて疑わなかったけれど……。


「っ、あ……!」


自分の記憶を遡ってみて、私はそこに思い至った。
ハッとして視線を横に向け、まだ肩に力を込めている堀田さんを見つめる。


「今回、古谷さんにも、四年前の君と同じことが起きたってわけだ」


間中さんが、横からそう前置きをしてくれる。
それを聞いて、堀田さんが頬を紅潮させながら、静かに口を開いた。


「あの……俺、普段から穂高さんの研究補助をしていて。実は、冴島さんが穂高さんに相談したっていうあの企画の検証実験をしたのも、俺なんです」

「……えっ!?」


思わず聞き返した声はひっくり返ってしまったけれど、確かにあの時、穂高君にそう説明を受けたことを思い出した。


「そ、そうだ。穂高君、補助員に頼んだって」


私が言葉を挟むと、堀田さんも硬い表情のまま、「はい」と頷く。
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