無愛想な同期の甘やかな恋情
呆れ果てているのか、真顔で冷たい瞳を向けられる。
親しい仲にも礼儀あり。
いや、全然親しくないのに、変にからかった私がマズかった。
「ご、ごめん。なんでもない。言い過ぎた」
この場を取り繕おうとして、私は慌てて謝罪をした。
自分でも、どうして穂高君に変な切り返し方をしたのか、いまいちよくわからない。
穂高君は、いつもの調子に戻ってくれない。
余計な話題に発展してしまったせいで、私たちの間に漂うこの微妙な空気を、どうやっていつも通りに持っていくか、私にはなす術もない。
結局。
「と、とにかく。間中さんには、絶対言わないで! 言いたかったのは、それだけ」
私は話を無理矢理戻して、彼の胸元にグッと人差し指を突き出した。
彼は顎を引いて私の指先に視線を落とし、わずかに背を仰け反らせて逃げる。
そして、ムッとしたように口をへの字に曲げた。
「信用ないな。言わないって言ってるだろ」
穂高君が言い返してくるのは、右から左にスルーして、くるりと背を向ける。
「じゃ、じゃあ! また来週、御機嫌ようっ」
来週のブランド会議で顔を合わせる頃には、私と穂高君の空気感はいつもの余所余所しいものに戻っているだろう。
普段は切なく感じる彼とのその距離感を、今は切に望んでいる自分が意味不明だ。
意識して少し歩幅を大きくして、カツカツとヒールを鳴らしてドア口に向かう。
親しい仲にも礼儀あり。
いや、全然親しくないのに、変にからかった私がマズかった。
「ご、ごめん。なんでもない。言い過ぎた」
この場を取り繕おうとして、私は慌てて謝罪をした。
自分でも、どうして穂高君に変な切り返し方をしたのか、いまいちよくわからない。
穂高君は、いつもの調子に戻ってくれない。
余計な話題に発展してしまったせいで、私たちの間に漂うこの微妙な空気を、どうやっていつも通りに持っていくか、私にはなす術もない。
結局。
「と、とにかく。間中さんには、絶対言わないで! 言いたかったのは、それだけ」
私は話を無理矢理戻して、彼の胸元にグッと人差し指を突き出した。
彼は顎を引いて私の指先に視線を落とし、わずかに背を仰け反らせて逃げる。
そして、ムッとしたように口をへの字に曲げた。
「信用ないな。言わないって言ってるだろ」
穂高君が言い返してくるのは、右から左にスルーして、くるりと背を向ける。
「じゃ、じゃあ! また来週、御機嫌ようっ」
来週のブランド会議で顔を合わせる頃には、私と穂高君の空気感はいつもの余所余所しいものに戻っているだろう。
普段は切なく感じる彼とのその距離感を、今は切に望んでいる自分が意味不明だ。
意識して少し歩幅を大きくして、カツカツとヒールを鳴らしてドア口に向かう。