無愛想な同期の甘やかな恋情
一夜明けて土曜日の朝。
私は、自分の呻き声で目を覚ました。


「うううう……」


頭の真ん中からジワジワと湧いてくるような、鈍い痛み。
飲み会明けの朝になると襲ってくるこの頭痛は、間違いなく二日酔いが原因。
社会人になってから度々経験するようになったけど、今朝はこれまでになく酷い。


地の底を這うような低く太い声で呻きながら、私はまるで蘇りたてのゾンビのように、ゆっくりむくっと上体を起こした。
どうにも重い頭が、最後に持ち上がる。


「うう……」


額に手を当て、一度ぎゅうっと固く目を閉じてから、これまた重い目蓋をぼんやりと開けた。
見回すまでもなく、私はちゃんと一人暮らしの自分の住処で、ベッドに横たわって眠っていた。


九畳の1Kの間取りで、それほど広くはないけれど、一応都心と言われる立地。
二十代の独身OLの一人暮らしと思えば、これでも贅沢だ。


私の実家は東京都下で、通勤時間は一時間を超えてしまう。
入社してから日々企画に明け暮れていて、私の帰りはいつも終電ギリギリ。
うっかり座ってしまった時は、企画のことを考えながら寝落ちて、終点まで乗り過ごしてしまうこともあった。
そこからタクシー帰りという失態が続き、さすがに一人暮らしを決意して、入社二年目で家を出た。


ここからなら、オフィスまで四十分。
家賃はちょっと高いけど、毎月支払うだけのメリットは十分ある。
< 45 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop