無愛想な同期の甘やかな恋情
そして、なにやらニヤッと笑う。


「どうしたんですか? お二人揃って、こんなとこで」


冷やかし混じりの視線に、私は慌てて手と首を横に振った。


「どうって? 別に、たまたま鉢合わせただけだけど?」


自分でも、声が裏返るのがわかった。
おかげで、かえって彼女の好奇心をくすぐってしまったようだ。


「え~? なんかワケありっぽい」


新井さんが私と穂高君を交互に見遣り、探りかけてくる。
怯む私の隣で、穂高君は小さな息を吐いた。


「なんだよ、ワケありって」

「だってほら。金曜日! 穂高さん、美紅さんのこと送って行ったじゃないですか~?」


意地悪に目を細める彼女の言葉に、私の笑顔が一瞬凍りついた。
絶対に避けたかった話題を本人の前で言われて動揺して、心臓がドッキンと跳ね上がる。


「今まで以上に、親交を深められたのではないか、と……」


ニヤニヤして探り入れてくる新井さんの前で、穂高君が返事に窮して口を噤むのを見て。


「な、なんだ。穂高君が送ってくれたのかー」


私は、ちょっと上擦った声を挟んだ。
二人から同時に、「え?」と視線を向けられる。


「私、金曜日、結構酔っ払っちゃってて。実は、祝賀会も、途中から記憶がないんだよね」

「えっ!? 覚えてないんですか?」


新井さんが、目を丸くして素っ頓狂な声をあげた。
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