無愛想な同期の甘やかな恋情
定例会議が終われば、『また来週』になるはずだったのに。
翌、木曜日、お昼休憩から戻ると、穂高君からメールが入っていた。
『Ayumu Hodaka』という差出人名を見た途端、件名に目が行くより先にドキッと鼓動が跳ねて、私は一瞬開封するのを躊躇してしまった。
でも、『来夏に向けた春夏モデルの改良について』と丁寧な件名を確認するまでもなく、彼から仕事以外の用件でメールが来たことはない。
マウスをクリックしてメールを開くと、用件が短く簡潔に書かれていた。
『冴島に頼まれた、口紅の色味調整の件。試して意見欲しいから、時間がある時にラボに来て』
私がそれを穂高君にお願いしたのは、先週の祝賀会の時のことだ。
あの日、私はお店に行く前に『AQUA SILK』のコーナーをはしごして、販売員からお客様の生の意見をインタビューした。
その結果、既存製品に改良を加えてみたいと考え、祝賀会で隣になったのをチャンスとばかり、穂高君に相談したのだ。
あれからまだ一週間なのに。
さすがに仕事早いな。
彼の対応が迅速なのはいつものことだけど、私は「ほおっ……」と息を漏らして感嘆してしまう。
隣のデスクの篠崎君がそれを拾って、「どうしたんですか?」と背を仰け反らせて訊ねてきた。
翌、木曜日、お昼休憩から戻ると、穂高君からメールが入っていた。
『Ayumu Hodaka』という差出人名を見た途端、件名に目が行くより先にドキッと鼓動が跳ねて、私は一瞬開封するのを躊躇してしまった。
でも、『来夏に向けた春夏モデルの改良について』と丁寧な件名を確認するまでもなく、彼から仕事以外の用件でメールが来たことはない。
マウスをクリックしてメールを開くと、用件が短く簡潔に書かれていた。
『冴島に頼まれた、口紅の色味調整の件。試して意見欲しいから、時間がある時にラボに来て』
私がそれを穂高君にお願いしたのは、先週の祝賀会の時のことだ。
あの日、私はお店に行く前に『AQUA SILK』のコーナーをはしごして、販売員からお客様の生の意見をインタビューした。
その結果、既存製品に改良を加えてみたいと考え、祝賀会で隣になったのをチャンスとばかり、穂高君に相談したのだ。
あれからまだ一週間なのに。
さすがに仕事早いな。
彼の対応が迅速なのはいつものことだけど、私は「ほおっ……」と息を漏らして感嘆してしまう。
隣のデスクの篠崎君がそれを拾って、「どうしたんですか?」と背を仰け反らせて訊ねてきた。