無愛想な同期の甘やかな恋情
「そっ」


あの翌朝とよく似た、激しい喉の渇きを感じる。
答えようとしたものの、第一声から、カラカラの喉に引っかかってしまった。


「その後のことは、本当に覚えてな……」

「嘘だ。冴島は、なかったことにしたくて、覚えてないフリをした」


淡々とした口調で断言されて、私は口ごもった。
そんな私を、彼が上目遣いに窺ってくる。


「……覚えてるんだろ? 俺と、キスしたこと」


今度こそ、決定打で追い込まれる。
私はギクッとして、顔が強張るのを隠し切れなかった。


「冴島」


短く呼びかけてくる穂高君の目が、私に『白状しろ』と命令している。
私は、無意識にごくんと唾を飲んだ。
彼の鋭い瞳に射竦められてしまうと、もう言い逃れる術はない。


「だ、って」


私は、諦めて、突っかかりながら声を出した。


「穂高君だって、酔ってたでしょ?」


それには、穂高君が訝しそうに眉根を寄せる。


「俺は、ちゃんと覚えてるし、隠すつもりはなく認めてる」

「酔った私が鬱陶しくて、面倒くさかっただけでしょ?」

「え?」


穂高君が、さらに目力を強めて、聞き返してくる。
彼の視線が居心地悪くて、私は逃げるように目を逸らした。


「じゃなきゃ、私にあんなこと言う意味がわからない。あんな……」

「その色も、似合わないな」
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