無愛想な同期の甘やかな恋情
早朝の事務所は、電気も落ちていて無人だった。
私は昨夜と同じようにソファに腰かけ、穂高君が来るのを、ちょっと緊張しながら待った。
五分ほどして、廊下を走る足音が近付いてきた。
膝の上で握りしめた手を見つめるうちに、いつの間にか伏せていた顔を上げる。
と同時に、軽く息を弾ませた白衣姿の穂高君が、ドア口に姿を現した。
迷うことなく、まっすぐこちらに目線を向けてくる彼に、条件反射でドキッとする。
私はスッと腰を浮かせた。
「お、おはよう、穂高君」
私の挨拶は、やや上擦った。
穂高君も、「ああ」と短く返すだけ。
大きな歩幅でこちらに歩いてくる彼の表情は、わかりやすくぎこちない。
私が思っている以上に、突然の私の訪問に困惑している様子だ。
「ごめんね。研究中に、朝っぱらから……」
しっかり立ち上がり、恐縮しながら声をかける間に、彼は私の前まで来て、両足を揃えてピタリと止まった。
「それは、いいけど……」
頭上から降ってきたその言葉にホッとして、私はそっと目線を上げる。
穂高君は、大きな手で口を隠し、私から目を逸らしていた。
「あんなことした俺に、なんの用?」
口に当てた手に邪魔され、くぐもった声で、ボソッと告げる。
私は昨夜と同じようにソファに腰かけ、穂高君が来るのを、ちょっと緊張しながら待った。
五分ほどして、廊下を走る足音が近付いてきた。
膝の上で握りしめた手を見つめるうちに、いつの間にか伏せていた顔を上げる。
と同時に、軽く息を弾ませた白衣姿の穂高君が、ドア口に姿を現した。
迷うことなく、まっすぐこちらに目線を向けてくる彼に、条件反射でドキッとする。
私はスッと腰を浮かせた。
「お、おはよう、穂高君」
私の挨拶は、やや上擦った。
穂高君も、「ああ」と短く返すだけ。
大きな歩幅でこちらに歩いてくる彼の表情は、わかりやすくぎこちない。
私が思っている以上に、突然の私の訪問に困惑している様子だ。
「ごめんね。研究中に、朝っぱらから……」
しっかり立ち上がり、恐縮しながら声をかける間に、彼は私の前まで来て、両足を揃えてピタリと止まった。
「それは、いいけど……」
頭上から降ってきたその言葉にホッとして、私はそっと目線を上げる。
穂高君は、大きな手で口を隠し、私から目を逸らしていた。
「あんなことした俺に、なんの用?」
口に当てた手に邪魔され、くぐもった声で、ボソッと告げる。