無愛想な同期の甘やかな恋情
やや不明瞭だけど、私の耳にはちゃんと届いた。
その言葉には、私の心臓がドキッと跳ね上がった。


「昨夜の今朝で、冴島の用件の方が気になる」


彼は、私の用件を予想して探っている。
行動の意味を見透かされていても、私ももちろん驚きはしない。


「うん」


緊張感が増してきて、私が返した短い相槌の声も固くなった。
私の声色に気付いたのか、穂高君が私に視線を戻す。


「あの、これ。差し入れ」


私たちの間に漂う緊迫した空気を和らげようと、コンビニの白いビニール袋を持ち上げて見せた。
ガサッと音を立てるそれに、穂高君も目を動かす。


「ついさっき、コンビニで買ってきたばかりだから、食中毒の心配はないよ!」


私は昨夜の会話を思い出し、なにか言おうとする穂高君を先回りした。


「それから、餌付けでもないから」


彼はビニール袋から私に視線を流してきて、「え?」と聞き返してくる。


「朝ご飯。穂高君、まだでしょ?」


私が今できる一番明るい笑顔で、そう言った。


「私も、まだなの。一緒に食べよう?」


穂高君は、一瞬虚を衝かれたように、瞬きをしたけど。


「……呑気だな」


わずかに眉尻を下げて、表情を和らげた。
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