無愛想な同期の甘やかな恋情
「最後に、おにぎり。選んでください」
私は、四つのおにぎりが残ったビニール袋を、両手で持って広げた。
彼が隣から身を乗り出してきて、私の手元を覗き込む。
「これと、これ」
穂高君は、それほど迷うことなく、明太子とおかかを選んだ。
「……わりと、渋いね」
変わり種ではなく、オーソドックスなのを選んではきたものの、彼のチョイスにほんのちょっと目を丸くする。
けれど、穂高君は表情を変えずに、ひょいと肩を竦めた。
「残ってるツナマヨと鮭って、お前が好きなヤツだろ?」
「えっ。なんで知ってるの?」
確かにその通りだけど、穂高君の前で食べたことがあったか。
いや、話題にしたことすらないはず。
だから、当然のように言い当てられて、私は驚いて目を瞠った。
「ああ」
彼は特に気に留めた様子もなく、早速おかかのおにぎりのセロファンを剥がし、器用に海苔を巻いている。
「前に、何度かコンビニで見かけたことがある」
「え?」
「まだ、二年目か三年目の頃。お前、企画会議の前になると、決まっていつも残業で、夜食におにぎり買ってたろ?」
「っ」
穂高君はしれっと言うけれど、それって、私が彼と一緒に仕事をするようになる、ずっと前のことだ。
私は、四つのおにぎりが残ったビニール袋を、両手で持って広げた。
彼が隣から身を乗り出してきて、私の手元を覗き込む。
「これと、これ」
穂高君は、それほど迷うことなく、明太子とおかかを選んだ。
「……わりと、渋いね」
変わり種ではなく、オーソドックスなのを選んではきたものの、彼のチョイスにほんのちょっと目を丸くする。
けれど、穂高君は表情を変えずに、ひょいと肩を竦めた。
「残ってるツナマヨと鮭って、お前が好きなヤツだろ?」
「えっ。なんで知ってるの?」
確かにその通りだけど、穂高君の前で食べたことがあったか。
いや、話題にしたことすらないはず。
だから、当然のように言い当てられて、私は驚いて目を瞠った。
「ああ」
彼は特に気に留めた様子もなく、早速おかかのおにぎりのセロファンを剥がし、器用に海苔を巻いている。
「前に、何度かコンビニで見かけたことがある」
「え?」
「まだ、二年目か三年目の頃。お前、企画会議の前になると、決まっていつも残業で、夜食におにぎり買ってたろ?」
「っ」
穂高君はしれっと言うけれど、それって、私が彼と一緒に仕事をするようになる、ずっと前のことだ。