無愛想な同期の甘やかな恋情
「……間中さんは、私の夢を叶えてくれた、魔法使いなの」


ドキドキと胸が弾むのを意識しながら、唇の先で呟くように返事をする。
突拍子もないことを言い出した私に、穂高君は、「へ?」とやや裏返った声で聞き返してきた。


「私ね。子供の頃から、お化粧したりお洒落したりするのが大好きで。化粧品は、女の子を綺麗にしてくれる、魔法のアイテムだって思ってた」


腰を下ろしている段差の上で両膝を抱え、小さく身体を丸める。


「だ、だからね」


横顔に穂高君の視線を感じる。
頬が火照るのを自覚しながら、私はその先を続けた。


「この会社に入れて、本当に嬉しかった。念願の商品企画部配属になって、毎日新しい化粧品のことばかり考えて、企画書作るのが楽しくて。絶対に、私が魔法のアイテムを創り出して、世に生み出すんだ!って……」


いきなり『魔法』なんて子供みたいなことを言い出した私に、穂高君は呆れているのかもしれない。
ほんの少しもぶれない彼の視線の真ん中で、私はグッと顎を上げた。


「私の企画が通った、初めての商品。あれね、間中さんのおかげなの」

「え……?」

「企画書提出前に相談したら、忙しいのにわざわざ実験して、丁寧なアドバイスをしてくれて」
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