無愛想な同期の甘やかな恋情
私は穂高君に説明しながら、あの報告書に最後まで目を通した時の高揚感を思い出していた。


『君の夢が叶いますように。応援してます』


そのメッセージを目にした時のときめきは、今もなお、私の胸をきゅんとさせる。


「間中さんは、私の夢を叶えてくれた魔法使いなの。……今だから言うと、商品化が決まって、チームでも間中さんが担当してくれるんじゃないかって、あの時はちょこっと期待してた」


誰にも話したことがない夢を、穂高君を相手に胸を弾ませて語っているのが気恥ずかしくなって、思わずそんな本音を漏らしてしまった。


「俺が担当になったのは、予想外だった?」

「え? ……あっ」


間髪入れずに畳みかられ、余計なことを言ってしまった自分に気付く。
私は返事に窮して、言葉に詰まった。


「あ、あの……」

「なるほどね」


弁解しようと口を開いた私を、穂高君が溜め息で遮った。
最初の企画から担当してくれた彼の気分を、害してしまっただろうか。


不安になって揺れる瞳を向けると、穂高君と宙で視線が交わった。
ムッとした顔をされるとばかり思っていたのに、彼はわずかに口角を上げた。


「冴島って、見た目に反して、結構リリカルな思考回路してるよな」


からかうような言い方に、私の胸がドキッと跳ねる。
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