無愛想な同期の甘やかな恋情
「っ……なっ!」
してやったり、といった表情でニヤッと笑う穂高君に、私の胸がドッドッと激しい音を立てて加速し始めた。
「だ、だったら、今だって……!」
「俺、もう全部お前に曝け出しちゃったし。変に繕うとか器用な真似できないから」
あまりに太々しい言い草に、私はポカンとしてしまう。
その顔が面白かったのか、穂高君はくくっと小気味よい笑い声をあげた。
「でもまあ……。俺、冴島には正攻法で攻めるから」
彼はしれっとそう言いながら、なにかに気がついたように、白衣の左の袖をちょんと摘まんだ。
手首に嵌めたオメガのごつい腕時計で、時間を確認している。
それにつられて、私も自分の腕時計に目を落とすと、彼は「よっ」と掛け声をかけて立ち上がっていた。
「冴島の方も、そろそろだろ?」
頭上から促されて、私も慌てて立ち上がる。
「そ、そうだね。もう行かなきゃ」
まだだいぶ時間があると思っていたのに、気付くと始業時刻の三十分前になっていた。
今まで、できなかったのが不思議なくらい、穂高君との会話は弾んだ。
それがとても楽しくて、時間が過ぎるのを忘れてしまっていたけど。
「あの、穂高君」
先に研究室の附室に戻っていく彼の背を、私はそっと呼び止めた。
してやったり、といった表情でニヤッと笑う穂高君に、私の胸がドッドッと激しい音を立てて加速し始めた。
「だ、だったら、今だって……!」
「俺、もう全部お前に曝け出しちゃったし。変に繕うとか器用な真似できないから」
あまりに太々しい言い草に、私はポカンとしてしまう。
その顔が面白かったのか、穂高君はくくっと小気味よい笑い声をあげた。
「でもまあ……。俺、冴島には正攻法で攻めるから」
彼はしれっとそう言いながら、なにかに気がついたように、白衣の左の袖をちょんと摘まんだ。
手首に嵌めたオメガのごつい腕時計で、時間を確認している。
それにつられて、私も自分の腕時計に目を落とすと、彼は「よっ」と掛け声をかけて立ち上がっていた。
「冴島の方も、そろそろだろ?」
頭上から促されて、私も慌てて立ち上がる。
「そ、そうだね。もう行かなきゃ」
まだだいぶ時間があると思っていたのに、気付くと始業時刻の三十分前になっていた。
今まで、できなかったのが不思議なくらい、穂高君との会話は弾んだ。
それがとても楽しくて、時間が過ぎるのを忘れてしまっていたけど。
「あの、穂高君」
先に研究室の附室に戻っていく彼の背を、私はそっと呼び止めた。