無愛想な同期の甘やかな恋情
「え? なに? こんな朝っぱらから、冴島さん呼び出したの? 歩武」

「あ! い、いえ。間中さん、これは私が……」


間中さんの勘違いに気付き、私は慌てて言葉を挟む。
ところが、彼は、もっと違う方向に思考を働かせてしまったようで。


「あ。もしかして、昨夜からずっと一緒だった、とか……?」


意地悪に探るように語尾を消え入らせる間中さんの隣で、糸山さんが「えっ!?」と声をひっくり返らせた。


「ほ、穂高さん! 神聖な研究所で、なんてことを!」


どうやら二人は、随分とぶっ飛んだ誤解をしたらしい。


「え、あ、あのっ……」


私は、ギョッとして目を白黒させた。
それでも、なんとか弁解しようとした時。


「なんてことを、って。そんなことするわけないだろうがっ」


私より一瞬早く、穂高君がカッと頬を染めて否定した。
つられて私まで頬を火照らせてしまったせいで、彼がせっかく否定したのに、間中さんは疑いの眼差しを緩めないまま。


「なあなあ~、歩武。お前の言う『そんなこと』って、どんなこと?」


さらに意地悪に目を細め、穂高君の方に腕を回して、やけにねっとりした声で質問を畳みかける。
穂高君はグッと口ごもり、ちょっと乱暴に間中さんの腕を払うと、


「じゃ、じゃあな。冴島!」


やや上擦った声でそう言って、スッと踵を返した。
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