無愛想な同期の甘やかな恋情
この二週ほどの間に、何度か、間中さんと糸山さんを見かけた。
以前から、仲がいいやり取りを目にすることはあったけど……。
もうそこに姿はないのに、二人が出て行った出入口の方を、私は頬杖をついてぼんやり眺めていた。
すると。
「入社四年目で新ブランドを起ち上げた、商品企画部一のホープなのはわかるけどさあ。あの人の企画が毎回あっさり通るのって、優秀な研究員独り占めしてるからで、あの人の能力関係ないじゃない」
後ろの方から、プリプリした声が聞こえてきた。
話題の中の『あの人』が、私のことだとわかるから、反射的にギクッとして、シャキッと背筋を伸ばしてしまう。
「……あー、古谷さん」
篠崎君にも聞こえたのか、彼が私の斜め後ろに視線を流した。
彼の黒目が向く方向に、うちの部の後輩がいるらしい。
「古谷さん、先月の企画会議で自分の企画が落ちたの、納得いってないみたいなんですよね」
篠崎君がわずかに背を屈めて、コソッと言う。
私は古谷さんの声には背を向けたまま、無言で溜め息を返した。
そう言えば、この間篠崎君にも言われたっけ。
古谷さんが、いや彼女だけじゃないかもしれないけど、私を妬んでる部員もいるって。
以前から、仲がいいやり取りを目にすることはあったけど……。
もうそこに姿はないのに、二人が出て行った出入口の方を、私は頬杖をついてぼんやり眺めていた。
すると。
「入社四年目で新ブランドを起ち上げた、商品企画部一のホープなのはわかるけどさあ。あの人の企画が毎回あっさり通るのって、優秀な研究員独り占めしてるからで、あの人の能力関係ないじゃない」
後ろの方から、プリプリした声が聞こえてきた。
話題の中の『あの人』が、私のことだとわかるから、反射的にギクッとして、シャキッと背筋を伸ばしてしまう。
「……あー、古谷さん」
篠崎君にも聞こえたのか、彼が私の斜め後ろに視線を流した。
彼の黒目が向く方向に、うちの部の後輩がいるらしい。
「古谷さん、先月の企画会議で自分の企画が落ちたの、納得いってないみたいなんですよね」
篠崎君がわずかに背を屈めて、コソッと言う。
私は古谷さんの声には背を向けたまま、無言で溜め息を返した。
そう言えば、この間篠崎君にも言われたっけ。
古谷さんが、いや彼女だけじゃないかもしれないけど、私を妬んでる部員もいるって。