一目惚れの彼女は人の妻
「もう……なんで食べないのよ!?」
恵美が、俺の部屋で癇癪を起こしていた。その相手は、ピラ男だ。
「お兄ちゃん、このエサ、失敗なんじゃない? ピラ男が全然食べてくれないもん。美味しくないんだよ、きっと」
恵美は、左手を腰に当てて水槽の前に立ち、ベッドに横たわる俺に向かって言った。右手で、今日買ったばかりのエサの容器を持ちながら。
「ピラニアは意外に臆病だから、人がそばにいたらエサを食わないんだよ」
「そうなの?」
「ああ。おまえが水槽から離れれば、その内食うと思うよ」
「ふーん、そうなんだあ」
とか言いながら、恵美はこっちへ来て、ベッドの端に腰掛けた。
「お兄ちゃんもお腹空いたでしょ? あたし、何か作るけど、何食べたい?」
時計を見たら、昼を過ぎていた。しかし俺は、飯を食うような気分ではなく、
「俺はいいや。それより、眠くなって来た」
そう言うと、恵美はしばし無言で、俺をジッと見ていた。なぜかは知らないが。
「あんな女の、どこが気になるの?」
恵美が、俺の部屋で癇癪を起こしていた。その相手は、ピラ男だ。
「お兄ちゃん、このエサ、失敗なんじゃない? ピラ男が全然食べてくれないもん。美味しくないんだよ、きっと」
恵美は、左手を腰に当てて水槽の前に立ち、ベッドに横たわる俺に向かって言った。右手で、今日買ったばかりのエサの容器を持ちながら。
「ピラニアは意外に臆病だから、人がそばにいたらエサを食わないんだよ」
「そうなの?」
「ああ。おまえが水槽から離れれば、その内食うと思うよ」
「ふーん、そうなんだあ」
とか言いながら、恵美はこっちへ来て、ベッドの端に腰掛けた。
「お兄ちゃんもお腹空いたでしょ? あたし、何か作るけど、何食べたい?」
時計を見たら、昼を過ぎていた。しかし俺は、飯を食うような気分ではなく、
「俺はいいや。それより、眠くなって来た」
そう言うと、恵美はしばし無言で、俺をジッと見ていた。なぜかは知らないが。
「あんな女の、どこが気になるの?」