一目惚れの彼女は人の妻
少しして、私のスマホが震えた。手に取って見たら、LINEの”友だちかも?”に、”ピラ男”の名前があった。グロテスクなアイコンで。
一瞬、誰? と思ったけど、このタイミングで来るなら俊君に違いない。ああ、そうか。”ピラ”はピラニアのピラなんだ。俊君って、本当にピラニアが好きなのね。
すぐに”友だち”に追加したら、ピラ男からのトークが来た。
”今から駅の改札、でいいですか?”
私はすぐにお気に入りのスタンプでOKの返事をし、大急ぎで帰り支度を始めた。
俊君を待たせたくなくて、それと早く会いたくて、小走りで駅に行くと、ちょうど俊君も着いたところだった。
「急に呼び出したりして、すみません。迷惑ですよね?」
「そんな事ない。嬉しかった」
「え?」
あ。私ったら、つい口から出ちゃったみたい。嬉しい気持ちが。
「電車に乗るの?」
駅で待ち合わせなんだから、そうだとは思ったけど聞いてみた。
「はい。取りあえず地元の駅に行こうかと。いいですか?」
「うん、いいわよ」
電車に乗り、俊君と並んで吊革につかまった。今かな、と思い、
「俊君。私、ひ……」
まで言ったところで、
「黙ってもらえますか?」
と俊君に言われ、またしても最後まで言えなかった。つまり、”人妻じゃありません”と。
「俊君……」
それにしても、今の俊君の言い方は冷たかった。今までで一番、冷たかったと思う。
なんか私、泣きそう……
一瞬、誰? と思ったけど、このタイミングで来るなら俊君に違いない。ああ、そうか。”ピラ”はピラニアのピラなんだ。俊君って、本当にピラニアが好きなのね。
すぐに”友だち”に追加したら、ピラ男からのトークが来た。
”今から駅の改札、でいいですか?”
私はすぐにお気に入りのスタンプでOKの返事をし、大急ぎで帰り支度を始めた。
俊君を待たせたくなくて、それと早く会いたくて、小走りで駅に行くと、ちょうど俊君も着いたところだった。
「急に呼び出したりして、すみません。迷惑ですよね?」
「そんな事ない。嬉しかった」
「え?」
あ。私ったら、つい口から出ちゃったみたい。嬉しい気持ちが。
「電車に乗るの?」
駅で待ち合わせなんだから、そうだとは思ったけど聞いてみた。
「はい。取りあえず地元の駅に行こうかと。いいですか?」
「うん、いいわよ」
電車に乗り、俊君と並んで吊革につかまった。今かな、と思い、
「俊君。私、ひ……」
まで言ったところで、
「黙ってもらえますか?」
と俊君に言われ、またしても最後まで言えなかった。つまり、”人妻じゃありません”と。
「俊君……」
それにしても、今の俊君の言い方は冷たかった。今までで一番、冷たかったと思う。
なんか私、泣きそう……