一目惚れの彼女は人の妻
 しかも、ちょうどダメ男の元カレが私の胸に手を伸ばした瞬間の画像で、誰が撮ったのかは知らないけど、正に劇的瞬間だと思う。

「しゅ、俊君、これは……」

「妹が撮ったんです。昨夜、同じ居酒屋に妹もいたんですよ」

「妹さんって、もしかして、ホームセンターで……」

 妹と聞いて、私はすぐに彼女を思い浮かべた。ホームセンターで俊君にベタベタしていた、勝気そうだけど可愛い女の子。私はてっきり、俊君の彼女だと思っていたけども。

「そうです。俺にベタベタしてた子です」

 やっぱりそうなんだ。

「なんだ。そうだったのかあ。私ったら……」

 勘違いしてた。私は嬉しくなり、ついウフフと笑ってしまったのだけど、

「笑うな!」

 俊君に怒られてしまった。しかも、激しく。なぜかはわからないけど。

「すみません。でも、この男は誰なんですか?」

 なぜか俊君は、どうでもいいダメ男の事を聞くから、私はそのまま、

「名前なんか、どうでもいい男よ」

 と言ったのだけど、

「あなたは、どうでもいい男に触らせるんですか!? そんな人なんですか!?」

 え? そこなの?

 と思ったけど、そんなツッコミをする暇はなかった。俊君が、右手を上げたから。

 咄嗟にぶたれると思い、私は目を閉じたのだけど……
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