恐怖と愛
今、上手く笑えてるか不安になった。

「じゃぁ。好きなタイプとかは?」

「うーん。優しくてあっさりしている人がタイプです。」

先輩が意外そうな顔をしていた。

そのとき父親から電話が鳴った。

本当は電話なんて出たくもないし、着信拒否もしたいくらいだけど…
未成年だから何も出来ない。
だから仕方なく電話を出た。


「今、何してる?はよ、帰ってこい!バカヤロー」

電話で罵声あげるなよって思った。

しかもまだ時間6時だし…

「先輩にすみません。お先に失礼させて頂きます。」と言って出て行ったが
すっかりお金を払うのを忘れて、店に戻った。

「そしたらいいよ。奢ってあげるから。」
と言ってくれた。

「ごちそうさまです。」
と言い頭下げた。

そして慌てて走って帰った。


玄関のドアを開けたら足元が凄いことになっていた。

テレビのリモコンやDVDのパッケージなどの破片などが落ちていた。

1週間ごとくらいに父親は会社のストレスか何かの原因で虐待(DV)をするようになっていた。

毎週、こんな感じで嫌になる。

門限は6時半だが…。最近は6時に帰ってこないとダメみたい。

私は取り合えず…おそろ おそろ、リビングに向かった。

父はお酒を飲み静かにテレビを見ていた。

母はもう1ヶ月以上、帰って来てなく他のどこかに行ってしまった。


一応、「ただいま…。」と声を掛けたが何も言わなかった。

私は2階に上がり提出物とかをやってたら8時になってた。

さすがに夕ご飯も食べていなかったため下に降りた。

そしたら、いつの間にか下に散乱していたモノが片付けられていた。


リビングに行ったら父親はいなかった。

部屋は探したがどこにもいなかった。

ドアの音がしたので玄関に行ったら父親がどこかに行ってたらしく帰って来たみたい。

そして私に暴力を振るおうとして来たので私は急いで自分の部屋に戻り鍵をかけた。

少しの間は「ドンドン」と凄い音がしていたが5分くらい経ったら静かになった。 

結局、風呂も入らず、ご飯も食べずに寝た。

だけど何も食べてない所為で腹が減って寝付けなかった。

2時間くらいは寝たかな…。

私が目覚めたのは6時半。

仕方なく下に降りて父の分と自分の分の弁当を作った。

父に弁当を渡し、7時半に家を出る。

40分にバスが来る。

家からバス停までは5分くらい。

バスにのり20分くらいで学校に着き、坂を登ろうとしたら勇気先輩が声を掛けてきた。

昨日、帰ってしまったことと、奢ってもらったことをお礼を言った。

「いいよ。そのくらい。気にしないで!」と言われた。

今までにもないくらいの笑顔で凄く一目惚れしてしまうくらいだった。
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