そして私は行間の貴方に恋をした
「・・・喧嘩売ってんの?」

「売ってねえよ」

「じゃあ何?」

「お前が名前教えろっつったんだろ」

「名前知られたくないならもう少しマシな偽名にしたら?」

『はぁ・・』と、華月が大きな溜息をもらしたので、俺も負けじと『はぁ・・』と返してやる。

「偽名じゃねえよ、本名だ」

「そんなワケないじゃん、嘘下手すぎ」

「お前、今、全国の山田太郎を敵に回したぞ」

言ってから鞄に手を突っ込んで財布を取り出した。この手のやり取りをうんざりする程してきた俺は、免許証を財布の取り出しやすい所に入れていた。それを引き抜いて華月に見せてやる。

「・・・嘘・・本物?」

「そんな手の込んだギャグかます奴いねえよ、本物に決まってんだろ」

暫く信じられないとゆう顔をしていた華月は、突然吹き出して笑い声を上げた。

「ぷっ!あはははは!信じらんない!本当に山田太郎なんて名前の人間がいるなんて。あ〜可笑しい」



< 11 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop