そして私は行間の貴方に恋をした
『柿崎グループの社長令嬢』は、あの気持ちの悪い蝋人形だとゆう事だ。

柵の切れ間があり、年配の執事らしき人物と若い使用人が立っていた。

「お客様、申し訳御座いませんがその御召し物では・・」

俺の服装を見るなり若い使用人が口を開いた。元々そのつもりで居た俺は、特に何も感じなかった。

「ああ、じゃあこれ・・」

編集から渡されていたプレゼントを差し出そうとして、ふと手を止める。視線を地面に落とすと、目的の物が目に入った。

しゃがみ込んで、アスファルトの裂け目からそれを摘み

「これをお嬢様に」

と、言って差し出した。

「はい?」

俺の手にあるタンポポを見た使用人が明らかに困惑の表情を浮かべた。どうしたものか悩んで、年配の執事に助けを求め視線を送る。

「かしこまりました」



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