そして私は行間の貴方に恋をした
「ふざけるな!なんでよ!」

見る見るうちに華月の瞳が潤んでいく。語気は強く、子供が駄々をこねる様に口から言葉をただ吐き出す。

「来なければ諦めるつもりだった!来れば想いを伝えるつもりだった!それなのに・・来て顔見せずにあんなの残して帰るなんてズルイ!」

「なんだそりゃ、薔薇園丸ごとプレゼントされてるやつがたかがタンポポ一輪貰っても別に何とも思わないだろうが」

「嬉しかった・・今まで貰ったどんな高価な物より!薔薇園よりもずっとずっと嬉しかった!だってタンポポは!」

「タンポポはタンポポだよ、深い意味なんてないさ・・」

そう

ただのタンポポ

「でも・・だって・・あれは」

「本当に意味なんてなかったんだ。ただそこに咲いていただけ、そこに咲いていたのが他の花だったとしても俺はそれを摘んでたさ」







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