そして私は行間の貴方に恋をした
「あの時私はアメリカに留学する事になってたんだよ。留学して、デザイナーになるのが夢だった。暫く離れる日本を、この街を目に焼き付けようとウロウロしていたの」

横目で華月を盗み見ると、視線を落として何かを我慢する子供みたいに唇を噛んでいた。

「そんな時、何度かここで君を、太郎君を見かけて声を掛けてみようって思ったの」

「・・どうしてですか?」

「なんでかな、わからないけど君と話してみたいって思ったんだ」

華月のいないその世界の話は、華月の耳にはどう聞こえているのか、俺に知る術は無くてただ心の中で呟いていた。

「きっと私は・・いつもつまらなそうに世界を見てる君の横顔に恋をしていたんだよ」

それは昨日食べた夕飯の話でもするように、さり気ない口調だった。

「まあ、留学する為に彼氏と別れたばっかりだったから、寂しかっただけかもしれないけどね」







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