そして私は行間の貴方に恋をした
「私・・帰る」

華月は立ち上がると足早に歩いて行く。その後ろ姿に俺は何も言わなかった。

言えなかったんじゃなく

言わなかった

「追いかけなくていいのかい?」

「大丈夫ですよ、あいつは、華月はそんなにヤワじゃない」

「あらあら、妬けちゃうねそれは」

陽子の軽口は聞き流して俺は別の質問を口にした。

「どうして今更ここに来たんですか?」

「たまたま偶然だったんだよ。ついこの間アメリカから帰って来て、テレビを見ていたら本のランキングをやっていてね。その番組で【タンポポ】って本が紹介されて、その紹介された内容を聞いて、もしかしたら思って買って読んだんだよ」

それはきっと俺が観た番組と同じものだろう。あれだけネタバレすれば、簡単に気付けたのも頷けた。

「それで、俺が書いたものだって気付いて、ここに来てどうするつもりなんですか?」





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