そして私は行間の貴方に恋をした
華月が俺の手から原稿を受け取って上から巡り始める。

俺は華月の手から傘を取って閉じると、自分の傘を華月の上にかけた。

俺も華月も一言も話さなかった。

どのくらいそうしていたか、いつのまにか雨は上がっていた。

最後のページを華月が読み終わり、顔を上げて俺に疑問の目を向けて言った。

「これって・・私の?」

「ああ、華月と俺の物語だ」

「どうして終わってないの?」

「俺にはラストはわからないからな、どうするかは華月にしか決められない」

「そんな事言われたって、美華・・私は告白も何もされてないじゃん」

「んなもん言われてなくてもわかるだろ、行間読むんだろ?」

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