そして私は行間の貴方に恋をした
「言っておくが俺はまだ28だ」

「なんだ、やっぱおじさんじゃん」

失礼な事をサラッと言って女の子は俺の隣に腰を下ろし、ジーンズに包まれた膝を抱えるように座った。肩まである髪は少しオレンジがかっていて、薄い化粧ながらイマドキの女の子とゆう印象だった。

「そうか、28はおじさんなのか。そいつは初耳だ」

「25歳以上はもうおじさん」

「はいはい。それでお嬢ちゃんはおじさんに何か用か?」

「別に」

女の子は風になびく髪が鬱陶しいのか、しきりに手で髪を整える。

「ただ、たまにここに居るの見掛けるから何してるのかと思っただけ」

「仕事だよ、金がなきゃ生きていけないからな」

「昼間っからこんなとこで寝ててお金貰える仕事なんて私聞いた事ないんだけど」

言いながら女の子は俺の鞄の上に置かれたノートに視線を送っていた。

「ま、お嬢ちゃんにはわかない仕事も世の中にはあるんだよ」




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