そして私は行間の貴方に恋をした
「やっぱおじさんにはそれぐらいが限界かぁ・・まあ仕方ないからそれで許してあげる」

そう言って華月は俺の胸に顔を埋めてそっと背中に手を回す。

華月を包むように俺もその細い体に腕を回して言った。

「知ってるか?タンポポには【思わせぶり】って花言葉もあるんだぞ」

「はぁぁ?」

顔を上げようとした華月を俺は腕に力を込めて止める。

顔を見てなんて恥ずかしくて無理だ。

「華月、俺はお前に恋してる」

「・・うん、私も太郎に恋してる」

暫く無言でお互いの身体を抱いたまま過ごし、ゆっくりと離れた。

「そう言えばタイトルは決まってるの?」

「ああ、もう決めてある」

きっとあの言葉を聴いた時に俺はもう華月に恋をしていたんだと思う。

「なんてタイトル?」


< 50 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop