言わないで
「.......あ、あたし、タクミの家に荷物たくさん置いてきちゃってるから、タクミの家じゃ、ダメかな」


苦し紛れ。


「.......ん、わかった」


「.......じゃあ、いまから、いくね?」


そう言って切れた電話。


いやいやいや、やばい待って。


泣きすぎて腫れた目、パンパンにむくんだ顔。


誤魔化すようにサッとメイクをして、直ぐに家を出た。
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